修理技術(板金・メカニカル)

ヘミング専用エアツールによる、リヤクォータパネル取替時のホイールアーチヘミング作業効率化事例のご紹介

 

 

 

1.はじめに

 

 

ホイールアーチヘミング部は、一般的に取外しはベルトサンダなどでヘミング端部を削り取り、取付けはハンマ&ドリーでヘミング加工を行いますが、それぞれに以下のような課題がありました。

 

今回紹介するヘミング専用エアツールは、その課題を改善することが可能なツールとなります。

 

 

ヘミング部取外し

従来作業(ベルトサンダ)

リムーバルツール(ヘミング専用)

課題

・鉄粉の飛散が多く、作業環境が悪い

・時間がかかる

課題の改善

・鉄粉の飛散がなく、作業環境の改善

・作業時間の短縮

 

 

 

 

ヘミング加工

従来作業(ハンマ&ドリー)

ヘミングツール(ヘミング専用)

課題

・歪みが出やすく、加工に時間がかかる

・熟練を要する

課題の改善

・歪みにくく、作業時間の短縮

・特別なスキルが不要

 

 

2.ツール紹介

 

使用するツールは、取外し専用のリムーバルツール(NEX-2000DS)と、取付け専用のヘミングツール(NEX-1000DS)です。海外で流通しているオリジナルツールを日本国内向けに特別に改良したものです。2016年に発売が開始され、国産車の板厚に対応し、作業性が向上しています。

 

 

 

製造元 ネキスト株式会社

販売元 株式会社バンザイ

商品名 リムーバルツール(NEX-2000DS)リムーバルプライヤ付属(NEX-50)

ヘミングツール(NEX-1000DS)

 

 

 

3.ホイールアーチヘミング部取外し作業事例(トヨタ プリウス 50系)

 

(1)ホイールアーチヘミング部取外し作業

 

始めにリムーバルプライヤでヘミング部を一部捲りあげます。写真はシーラなしの状態で作業しています。

 

 

ブレードの往復運動により、連続的にヘミング部を捲り上げていきます。

 

 

 

(2)ホイールアーチヘミング部取外し作業比較

 

従来作業(ベルトサンダ)と、リムーバルツールを使用した作業比較です。

 

 

 

4.ホイールアーチヘミング加工作業事例(トヨタ プリウス 50系)

 

 

(1)ホイールアーチヘミング加工作業

 

始めに予折りを行います。予折りを行うことで、この後のヘミングツールによるヘミング加工がスムーズに行えます。予折りには、ゴムとプラスチックヘッドの付いたハンマと、ゴム製ドリーを使用することで、ハンマリング時の歪みの発生を抑制できます。

 

 

ヘミングツールを取付ける箇所を先ほどのハンマとドリーでヘミング加工し、ヘミングツールを取付けます。この時、シートは一番右にスライドさせておきます。

 

 

パネルと接触するところまで、シートを左へスライドさせます。その後、シート下のボルトを締め固定します。

 

 

補足:トヨタ クラウン210系のように、ホイールアーチの形状がすり鉢状になっている車両は、シートとパネルの接着面積が小さくなり歪みが出やすくなるため、クリアランス調整は余裕を持たせ、徐々にヘミング加工を行って下さい。

 

 

レバーを握りヘミング加工を行います。1回目のヘミング加工では、わずかに隙間(ヘミング不足)が確認できたため、再度クリアランス調整を行い、2回のヘミング加工を行いました。ヘミング加工の範囲は、車種ごとに異なるため、作業前や反対側面で確認しておいてください。

 

 

仕上がりについては、ヘミング加工の開始位置と、終了位置に、わずかに歪みが確認できるレベルでした。それ以外の歪みは極小で、プラサフで十分に対応できるレベルでした。

 

 

 

 

(2)ホイールアーチヘミング加工作業比較

 

 

従来作業(ハンマ&ドリー)と、ヘミングツールを使用した作業比較です。

 

 

 

 

以上